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メタゲノム解析について

メタゲノム解析は、今までの方法では検出できなかった細菌を含めて、生息する細菌種をまるごと検出する全く新しいDNAの解析技術です。

今までの方法とメタゲノム解析

旧来の方法では、口内フローラの数菌種しか把握できませんでした。また位相差顕微鏡では正確な細菌種の同定は不可能です。

 

培養法・・・自然界に生息する1~50%程度
これまでの細菌学の研究の主体は、培養法によるものでした。しかし、自然界に生息する細菌の50-99%は培養できない難培養性細菌といわれ、培養による研究では見つかっていない未知の細菌種が無数に生息しています。
リアルタイムPCR・・・4、5種類の細菌のみ
代表的な数種類の細菌を検出することができます。歯周病菌であれば、Red-complexを含めた4-5種類の細菌の検査に利用されます。しかし、口内フローラのように数百種類の細菌を検出しようとすると、莫大なコストがかかります。
位相差顕微鏡・・・菌の鑑別不可能
顕微鏡を用いて、菌の形や動いている様子を観察します。しかし、同じような形をしていても違う菌は無数存在します。さらに数百種類の細菌を形だけで判断することは不可能です。また、見えている部分(視野)によって菌の種類や数がぜんぜん違うため、観察者の主観が入りやすいとも言えます。顕微鏡だけで、実際に口内フローラの病原性を評価することは極めて難しいでしょう。
メタゲノム解析・・・100種類長の詳細な細菌種が分かる 菌のDNAを丸ごと解読する最先端の技術です。理論的に生息する細菌の種類を網羅的に調べられる。


メタゲノム解析の流れ

細菌のDNAを丸ごと解析するメタゲノム解析によって、口内フローラの詳細を把握できるようになりました。

唾液やプラーク、糞便から細菌に由来するDNAを丸ごと抽出します。このDNAには様々な細菌に由来するものが含まれ、これをメタゲノムと呼びます。
さらに解析できるようにDNAの形を整えます。
 
次世代シークエンサーを用いて、DNAの塩基配列(遺伝暗号)を大量に解読します。
 
塩基配列をもとに専用コンピューターで細菌ゲノムデータベースと照合します。
 
細菌の割合を算出し、細菌組成を推定します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 

口腔細菌叢のメタゲノム解析の例

メタゲノム解析によって今まで把握すらできなかった細菌を丸ごと調べることができます。
解析結果をWordCloud(細菌の割合を文字の大きさで表現する手法)で表現しています。

●●歯周ポケットのメタゲノム解析の例

 

 

●●感染根管のメタゲノム解析の例

感染根管、歯周ポケット、ともに細菌の構成は人によって様々です。
それにも関わらず、同じ治療法で良いのでしょうか?
メタゲノム解析によるアプローチで臨床が変わるかもしれません。