Q&A よくある質問
家庭用には販売していないのですか?
現時点では販売していません。
これまで解析した経験から、”顔の見える菌叢解析”が大事だと考えています。そのため、MetaDentProjectの歯科医院を通じて提供することにしています。
多くの患者さんの菌叢解析をした経験から言えることは、菌の結果だけをみてその人のカラダやお口のことを想像することは困難です。
統一フォーマットにのせた解析結果をお届けするのはもちろんですが、その口内フローラがその人のお口の中にどう関わっているのか、知識・経験のある歯科医師が丁寧に説明やアドバイスすることに本当の意味があります。
普通の歯科医院では取り扱っていないのですか?
現時点では取り扱っていません。
メタゲノム・メタ16S解析はこれまでの細菌検査とは概念や原理が全く異なり、さらに解析結果もこれまでの教科書的な知識では太刀打ちできない複雑なデータとなります。
解析原理をよく理解したうえでデータを取り扱い、患者さんに説明する必要があると考えています。また、MetaDentProjectに参加する歯科の先生に対しては、谷口歯科医院でこれまでに得られた最新の菌叢データをもとに、解析結果の解釈について相談と助言を行っております。
全身疾患の診断やリスク評価はできますか?
現時点では不可能です。お腹の病気や癌などと口腔細菌叢との関係を調べた論文が出てはいますが、実際に患者さんの口腔細菌叢を解析している経験から申し上げると、現時点では不可能に近いと言えます。それくらい個人間の菌の多様性が大きく複雑だということです。今後のさらなる研究が必要です。
治療には役に立ちませんか?
役に立つ場合はあります。それは歯周病菌が多くて重症の歯周病の場合は、どのような菌が多いのか詳細に把握できます。
歯科医院によっては抗菌薬を併用した歯周病治療を行いますので、抗菌薬選択の際の判断材料にできます。
どういう菌叢に対してどのような薬・治療が有効なのか、無効なのかを菌叢解析を通して明らかにしていけば、さらに治療への応用が広がると思います。そのために我々MetaDentProjectを組んで菌叢解析に取り組んでいます。
予防(口腔ケア)には役に立ちませんか?
菌の種類によってはメインテナンス(定期検診)の頻度を高めるなどの対応ができるのではないでしょうか。
また周術期管理において口腔内にどんな菌が多いのかを把握できれば、もしかしたら術前・術後の口腔ケアの必要性を評価できるかもしれません。
手術前の口腔管理で来院される患者さんに対して、できるだけ菌叢データを提供したいと思っていますので、余裕(2週間程度)を持って御依頼下さい。
(位相差)顕微鏡検査でわかると言われましたが
位相差顕微鏡であれば、生息する微生物の形や運動性が分かります。おおまかな菌の種類は想像できますが、正確には分かりません。メタゲノムで調べると数百種類の微生物が生息していることが分かりますが、同じ形をしていても種類が違う菌がたくさんいます。顕微鏡だけで区別が付く先生はおそらく神の目を持つと言っても過言ではありません。そこに意味を見出すか見出さないかその違いだと思います。
(リアルタイムPCRなど)歯周病菌検査とどちらが正確ですか
原理的にはリアルタイムPCRによる定量の方が感度は高いと思われます。また現時点で確立されている方法とは言えます。当センターでは歯周ポケットの解析ではリアルタイムPCRによる定量と合わせて次世代シークエンサーによるメタゲノム(メタ16S)解析を行っていますが、両者は傾向が一致するデータが得られています。(どうしても原理が違うので完全一致するデータにはなりません。)
メタゲノム解析では同じ属に属する違う菌種も検出できますから、臨床症状や治療への反応性などを調べていくことでより有用な情報を提供できるようになります。
○○菌が多かったのですが、除菌した方がいいですか
極端に既知の虫歯菌が多くてなおかつ虫歯が多い場合は、菌を減らす方法を検討するのもよいかもしれません。
また歯周病菌が多かった場合は、歯周病の治療を検討した方が良いかもしれません。歯科医師とよくご相談ください。
その他の菌が多い場合は、今のところ、気にする必要はありません。無菌の人はいませんから、誰かしら何らかの菌が多いということになり際限のない話になります。注意が必要な菌が多い場合は、その旨アドバイスいたしますのでご安心ください。
カビはわかりますか?ウイルスは分かりますか?
現時点で採用している方法は細菌を検出するものです。したがってカビやウイルスは分かりません。
どうしても調べて欲しいものがありましたらご相談ください。
古細菌(アーキア)は検出できますか?
原理的には検出できますが、口腔内のアーキアは数が少ないので、めったに検出できません。
特に古細菌の検出を行いたい場合は、ご相談ください。
○○xxの口腔細菌叢への効果を調べて欲しい。
ある抗菌をうたう商品の口腔細菌叢への効果の試験を依頼されても対応できません。
基本的には、さまざまな治療法や商品に対しては、できるだけ中立であるべきと考えております。
もちろん、ご提出頂いた検体の受託解析は行っておりますのでご相談ください。その場合でも菌叢解析の結果を返すだけであり、その効果を評価・保証するという作業は一切行っていません。ご了承をお願いします。
舌と唾液、どちらが良いのですか?
臨床的な経験から言えば、舌の菌叢を評価するほうが臨床的な意義が高いと判断していますので、一般向けには舌の表面の菌を採取することにしています。
舌や唾液と歯周ポケット、どちらが良いですか?
難しい質問です。というのは、舌と歯周ポケットでは菌の構成が全く異なるからです。現時点の歯肉・歯の状態を評価したいのであれば歯周ポケットから採取するのが良いでしょう。口の中の菌の状態をチェックしたいのであれば、舌や唾液が良いと思います。
菌なんていまさら調べる必要ありますか?
菌のことなんてすでに分かってしまっていると思っている歯科医師が多いのは事実で、このような「メタゲノム解析で未知なる口腔細菌叢を調べていこう!」という活動はなかなか理解してもらえません。しかし、今、歯科医療の根拠となる教科書的な知識は、これまでの技術で分かっていたことが分かっていたに過ぎません。新しい技術で菌の世界を覗いてみると、これまでの知識では説明がつかない世界が広がっています。それを調べ、臨床に活かしていく必要があるのです。臨床に携わっていたら、なんでこうなんだろうと思うことはないでしょうか?それを細菌の側面から新しい手法を用いてアプローチしてみたいのです。