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歯科医師の皆様へ 一緒に口腔細菌叢メタゲノム解析に取り組みませんか?

NHKあさいち「特集 口内フローラ」において、よこはま とりがおか歯科(本田豊先生とともに、
谷口歯科医院・口腔常在微生物叢解析センターがメタゲノム解析・撮影の協力をしました。
(2016年5月9日放送)

あまり歯科の先生方に知られる前にNHKに取り上げられてしまったため、口内フローラメタゲム解析は(不必要な)自費のためのツールと認識されているかもしれませんが、もともと臨床家によって地道にデータを集めていこうという取り組みの中のものです。

谷口歯科医院は2014年に数々の研究機器を導入した解析センターを開設し、日々患者さんに協力してもらいながら口腔細菌叢解析に取り組んでいます。菌叢解析はとても興味深く、これから5年10年と歯科で最も必要な研究分野となることは間違いありません。

 

実は分かっていない口腔細菌叢

当たり前のように「良い細菌叢」「細菌叢バランス」といいますが、どんな細菌叢がいい細菌叢といえるのか、私は分かりませんし、おそらく誰も知りません。そしてどうすれば細菌叢を変えられるのか、そもそも変えて良いのか、変わるのか、何も分かりません。

細菌叢の詳細な細菌構成を把握できるようになったのは本当にここ数年のことです。

悪い菌だけを殺菌する○○という商品、本当にそうでしょうか。細菌叢全体への影響を考える必要があるんじゃないでしょうか。たった数菌種だけの知識で細菌叢を評価したなんておかしくないでしょうか。

多くの先生方は、「口腔細菌のことなんてわかりきっている、今更細菌なんて」、とお思いのことと思います。私も、メタゲノムを始めるまでそう思っていました。 しかし、メタゲノム解析を行ってみると今までの知識では説明がつかない世界が広がっていることが分かりました。

例えば、海洋探索を考えてみてください。素潜りで調査していた時代、当時の人々はそれで全てだと思っていたはずです。潜水艦ができて、さらに深く潜れる潜水艦ができて、実は分かっていない世界が広がっている、まだ見つかっていない生物が沢山生息していることに気がついたはずです。そう思いませんか?

口腔細菌叢も同じです。今まで分かっていたのは培養できる細菌の一部だけです。実は検出できなかった数多くの細菌がそこにはいます。それが未だ明らかになっていない病気の原因となっているのかもしれません。人の口腔内を健全に保つために必要な細菌がいるのかもしれません。

「子供には歯周病菌はいない」って習いませんでしたか?それは培養法で検出していた感度が低い時代の話です。リアルタイムPCRでみると一部の歯周病菌が検出されることが分かってきました。メタゲノムで見るとどうでしょうか。菌種レベルで見れば大人と変わらないような菌種が検出されてきます。

未だに難治性根管にEnterococcus faecalisがいると思っていませんか?そんなのほとんど出てきません。根管の中には想像を遥かに超える複雑な世界が広がっています。

今まで当たり前だと思っていたことを、メタゲノム解析で見直す必要があるのではないでしょうか。

臨床家が取り組む必要性って何?

そんなに重要な菌叢解析なら、大学に任せればいいんじゃない?と思う方も多いと思います。 確かにそうかも分かりません。
ですが、我々臨床家だからこそ得られるデータというのがあり、そして臨床ではそのようなデータこそに意味があります。

大学での研究は主に、疾患群と健康群とに分けて菌叢を統計学的に比較するというものです。確かに数十検体を集めて統計学的に処理して差はあったとしても、個々の細菌叢の差はよくわからないという結果が多いのです。細菌叢解析の結果をみてこの人は健康ですか?それとも病気ですか?その区別は現状では全く区別がつきません。それほど菌叢の多様性は大きいのです。それでは臨床では利用するのは難しいでしょう。

そういう研究は大学だからこそできる研究であり、そして重要な研究でもあります。

臨床家には臨床で出せる、そして臨床で意味のあるデータが必要です。それは次のようなデータです。

・重症の歯周病に抗菌薬Aを投与したら症状が改善した。その時、細菌叢がこう変わった。
・重症の歯周病に抗菌薬Aを投与しても症状は改善しなかった。その時、細菌叢がこう変わった。

・ある細菌叢に乳酸菌Bタブレットを服用したら、細菌叢がこう変わって口の中の状態が良くなった。
・ある細菌叢に抗菌成分の入った歯磨剤Cを使用したら、歯肉炎が改善した。

このようなデータが蓄積されれば、菌叢を調べてどんな治療、どんな薬、歯磨剤を使えばいいのか選択できるようになります。ちゃんと調べたうえで効果のあるものを使用できるようになります。

これは臨床家でないと集まらないデータです。もちろん、データを出すためになかば人体実験として薬を出すのは不適切です。


感染根管、歯周病、そして口腔内環境の維持。症状や治療反応性との菌叢との関連は分かっているようで分かっていない。
そしてどうやって菌叢をコントロールしていくのか、それには地道な作業が必要なはずです。それをすっぽかして、分かっているように菌叢がうんぬんというのは本当におかしな話だと思いませんか?

菌叢解析のコストはこれからどんどん下がっていくでしょう。5年後10年後、その時にそれを使いこなすだけのエビデンスを、今のうちに臨床家の手で集められたらすばらしいなと思っています。

MetaDentProject の受託解析

メタゲノム解析は本来ものすごく高額な解析です。外注の相場は6万円から10万円。1検体がです。

とても臨床応用不可能な価格なので、谷口歯科医院では全部の解析が行える設備を導入しました。歯科医院がまるまる1軒できるくらいです。それにより設備費を考慮に入れなければ、そして自分で作業すれば人件費もかからず、試薬代だけで解析できるようになったのです。

その解析費用が、現在Projectで提示している解析費用になります。40検体集まって解析した時の1検体あたりの試薬代になります。(作業はものすごく煩雑です。特にDNA抽出はものすごく嫌な作業です。将来的にはロボットで自動化させたい工程です)MetaDentProjectに参加している先生には、その試薬代としての費用を負担してもらっています。リアルタイムPCRで4,5菌種見るのと同じくらいの費用だと思いますが、技術的にも得られるデータの価値にも本来は雲泥の差があります。

ただ、試薬代のみの負担だといつになっても新しい設備投資、保守料が賄えなません。ですので、参加費(会費)を設定しています。

参加費不要にして、受託解析費を高めに設定したほうが良いのか分かりません。様々な先生の意見を聞いて今後変えていきたいと思っています。

また、参加してくださる先生方の経営に少しでもプラスにできるように「OralExplorer」を準備し患者さんへの提供を視野に入れています。まだまだ自費でどうぞとおすすめするだけの価値はないかもしれません。歯科の先生に知られる前にNHKに取り上げられてしまったため、口内フローラメタゲム解析は(不必要な)自費のためのツールと認識されたかもしれませんが、本来は地道に臨床でデータを集めていこうという活動なのです。

ちなみに谷口歯科医院では菌叢を調べて欲しいと来院された方を除いて、解析費用は一切いただいていません。歯周ポケット、根充前の感染根管など患者さんにご協力いただいたことで緻密なデータが揃い始めています。

最後に

すべての先生が、こういう活動に意味があると思ってくださるとは思っていません。本当にまったく理解されません。来る将来を見据えて、菌叢を地道に調べていくことが重要だと認識してくださる先生と一緒に仕事をしていきたいと思っています。

青臭いと思われるかもしれませんが、メタゲノム解析を用いて地道にデータを積み重ねることで、歯科を変えていきたいのです。けっして多くの先生を集めてメタゲノム解析で丸儲けしようなんて思っていません。臨床する前に大学で数年基礎研究ばかりしていたからこそ、今の歯科の現状をみてそう思うのです。

歯界展望2015年111月号の特集 2016年5月号~連載 も合わせてお読みいただければ幸いです。

興味のある先生はぜひ谷口歯科医院 谷口誠までご連絡をお願いします。

 

お問い合わせ先について

メタゲノム解析の詳細についてのお問い合わせは谷口歯科医院までお願い致します。