医療関係の方へ(クリニカルメタゲノミクス)
今、腸内細菌叢(腸内フローラ)と健康との関係に注目が集まっています。人の体には、腸内だけでなく、皮膚、口腔、鼻腔、外性器、そして今まで無菌だと思われていた羊水や胎盤にまで細菌叢が形成されていることが分かってきました。その詳細な細菌構成を調べる新しい方法がメタゲノム解析です。
谷口歯科医院・当センターでは、クリニカルサイドで次世代シーケンサーを動かし、患者さんの口腔細菌叢のメタゲノム解析(メタ16S解析)を行っています。メタゲノム解析の受託について
メタゲノム解析には多大な費用がかかりますが、次世代シーケンサーを自前で動かすことにより、一件あたりの解析コストを大幅に抑えることができました(機材投資や維持費は馬鹿になりませんが)。その結果、多くのサンプルを日常的に処理でき、患者さん一人一人の口腔細菌叢、そして治療や症状による細菌叢の変化を把握できるようになりました。
例えば、歯周病によって形成される歯周ポケットには、ものすごい数の細菌が生息しています。今まで5-6種類の細菌なら培養や遺伝子解析で調べることができました。しかし、メタゲノム解析によって構成細菌を丸裸にできるようになると、今まで誰も気がつかなかった菌が多数を占め、聞いたこともない菌がうじゃうじゃとひしめき合う状態が手に取るように分かります。歯周病がなかなか治らない人、進行の早い人、それぞれ調べてみると、興味深い結果が得られます。
一つ一つの細菌が何をしているのか悔しいことに現状では全く分かりません。ですが、分からないものがいっぱいだからこそ面白いと感じます。メタゲノム解析の登場は、顕微鏡の発明にも匹敵する、微生物学の新しい歴史が始まったと実感します。
メタゲノム解析は歯科だけでなく医科にも大きな変化を生み出すとことでしょう。当センターは他の医療機関からのサンプルも受け付けております。口腔細菌叢、腸内細菌叢など部位を問わず細菌叢の解析が可能です。ただいま、当センターと連携して細菌叢解析を行う医療施設を募集しています。興味のある先生はぜひご相談下さい。
ある唾液細菌叢をWord Cloudで表現。多い菌種ほど大きく表示される。一人一人異なることがよく分かます。
病院など医療機関からのメタゲノム解析の受託について
腸内細菌叢、口腔細菌叢、そのほか、未知の病原菌が疑われる検体があれば、ぜひメタゲノム解析をご検討下さい。
唾液や糞便などからのDNA抽出、PCRによるターゲット遺伝子の増幅、次世代シークエンス、情報解析までを一貫して受託することができます。但し、感染性のある検体の場合は、DNA抽出を行った上でご依頼下さい。詳しくはお問い合わせ下さい。メタゲノム解析の受託について