口腔カンジダ症(お口の中のカンジダ菌)
谷口歯科医院では、唾液中のカンジダ菌を培養法にて検出しています。
培養法を用いているためカンジダ菌の数を数字で表すことができ、治療の効果を客観的に判定できます。
唾液をカンジダ用培地で培養した結果です。
一つ一つの粒々がカンジダ菌のコロニーです。色の違いはカンジダ菌の種類の違いです。
シャーレが埋め尽くされるほど、多く検出される人もいます。
これらカンジダ菌が、唾液とともにお腹に入ったり、誤って気管に入れば肺に到達し、時に食道カンジダ症、カンジダ性肺炎の原因となります。お口の中のカンジダ菌を減らすことができればそのような危険性を低下させることができます。
カンジダ菌について
・カンジダ菌は、お口の中に常在する真菌(カビの仲間)です。
・加齢や免疫力の低下により数が増え日和見感染症(体力が低下したときに起こる病気)の原因になります。
・常在菌ですので口腔内に生息していても問題はありませんが、その数が多いと口腔や全身へ影響を及ぼすことが分かってきました。
カンジダ菌が多かった場合
1.まずは口腔衛生指導を行います。
・口の粘膜および義歯の清掃指導を行い、カンジダ菌の改善を行っています。
2.必要に応じて、お薬の使用をお出しします。
・口の清掃・義歯清掃を行ってもカンジダ菌が非常に多いと判断できる数値の場合は、必要に応じて抗カンジダ薬をお出ししています。
多くの方は、清掃指導でカンジダ菌の数が減少します。カンジダ菌数の減少によって、唾液がさらさらになった、口の粘膜の発赤・痛みが減少した等の感想を頂くことが多いです。また、カンジダ性の口角炎にも効果があります。
安直に薬を出してカンジダ菌が減ったとしても、口の中がきれいになったということでは決してありません。あくまでもカンジダ菌が減ったと言うだけです。まずはお口の中をきれいにするための口腔清掃が大切です。
カンジダ性口角炎
いつも口角(口・唇の端っこ)が切れてグジュグジュになっている患者さんの唾液を調べると、ほとんどの患者さんでカンジダ菌が多く検出されました。そのような患者さんには口腔衛生指導のもと抗真菌薬を出しています。著明に症状が改善するので喜んでもらっています。
※口角炎の原因には、カンジダ以外にもヘルペスウイルス、ビタミン欠乏など様々な原因があり、その原因に対して適切な処置・薬剤を選択する必要があります。誤った処置では、症状が改善しないどころか、悪化させる可能性もありますので注意が必要です。まずはカンジダを培養して、カンジダによるものと判断してから必要な処置を行います。
カンジダ菌と歯周病について
当医院では歯周病の治療として抗カンジダ薬はお出ししていません。顕微鏡下で多くのカンジダ様真菌を認めた場合でも、丹念な歯石除去と的確なブラッシングで、十分に症状を安定させることができます。
ただし、お口の粘膜が赤々としている人の中には、カンジダ菌が非常に多い人もいます。そのような場合はカンジダの処置を行っています。