香川県高松市の谷口歯科医院。お口の機能と細菌叢から口と全身の健康にアプローチします。

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メタゲノム解析をもとにした歯周病の治療と予防

歯周病菌は数種類の細菌による感染症です。したがって、歯周病の治療や予防には、その細菌の種類を正確に把握することが重要です。
谷口歯科医院では世界の歯科医院に先駆けて、次世代シーケンサーを導入し、歯周ポケットのメタゲノム解析に取り組み、歯周病の治療や予防に役立てています。

一般の方からの依頼で 全身疾患や全身の不調の原因を調べる目的での、細菌叢の解析は行っておりません。ご了承ください。

メタゲノム解析による口内フローラの把握

歯周病との関連が強い細菌は現在10-20種類程度調べられています。これらの菌が人それぞれ複雑な割合で存在し、歯周病を引き起こしていると考えられています。歯周病との関連性の強さから、図のような菌のピラミッドが考えられており、特に重度の歯周病と関連がある3菌種をRed complexと呼んでいます。しかし、これ以外にも重要な細菌が多数みつかり、再発しやすさなどの予測が可能になりつつあります。

 

従来のリアルタイムPCR法では特に重要な3-5種類しか把握できませんでしたが、メタゲノム解析では100種類を超える細菌が検出でき、歯周病の評価に役立てております。

メタゲノム解析で把握した歯周ポケットの細菌の詳細

↑メタゲノム解析を実施することで、100種類を超える歯周ポケット内の細菌を詳細に把握できます。

メタゲノム解析について

※メタゲノム解析には最先端の機器である次世代シークエンサーを用います。そのため解析には莫大なコストがかかりますが、患者さんへの負担を最小限に考え、他の歯科医院でリアルタイムPCR法で3-5種類調べるのと同程度を設定しています。詳しくはお問い合わせください。

メタゲノム解析の解析費用:9000円

一般の方からの依頼で 全身疾患や全身の不調の原因を調べる目的での、細菌叢の解析は行っておりません。ご了承ください。

歯肉・歯にやさしい治療と予防

歯周病の治療には歯石の除去が必要になります。しかし、闇雲に除去しただけでは逆に歯や歯茎を傷つけてしまうことになりかねません。当医院では、以下の2点に特に心がけ、歯石除去など歯周病治療を行っています。

・やさしく、無理をしない
 短い時間で歯石を除去しようとすると、無理な力をかけてしまいます。そのようなことが無いように注意して行いますので、ほとんど麻酔を行うことなく、歯石を除去していくことが可能になります。

・しっかり確実に、丁寧に
 痛みを与えないようにしても必要な歯石除去が十分ではないと、意味がありません。拡大鏡を使うことによって、丁寧で確実な歯石の除去を行っていきます。

 

また、歯科医院によっては歯科衛生士さんに歯周病の治療を丸投げしているところも少なくありません。もちろん歯石除去の上手な方もいらっしゃいます。しかし、歯周病の治療は歯石を除去するだけでは終わりません。
当医院では治療からメインテナンスまで責任を持って歯科医師が治療に当たっています。特に重症な歯周病ほど、単に歯石を除去するだけでなく、かみ合わせの調整、投薬や消毒などの臨機応変な判断が求められ、歯科医師の判断が必要になります。メインテナンスや歯のクリーニングは歯科衛生士さんにお願いすることがありますが、その場合でも歯科医師が責任を持って経過をチェックしております。

 

 


↑谷口歯科医院 口腔常在微生物叢解析センターの遺伝子解析室。

診療の予約、ご相談は087-831-8020にお電話ください。

 

歯周病の原因菌とその解析方法

歯周ポケットの細菌叢

 上記のRed-compex以外に100種類以上の細菌が、歯周ポケットの中に生息しています。今までの研究手法では、その100種類を越える細菌種を検出できなかったため、その全体像が把握できていませんでした。したがって、Red-compex以外にも重要な細菌が生息している可能性が残されています。

現にさらに15種類の細菌をみつけ、Perio-mixと名前をつけて、必ずチェックするようにしています。

 

メタゲノム解析の結果について

メタゲノム解析によって詳細な細菌の種類が分かります。これまでに解析した2000検体を超える歯周ポケット細菌叢のデータをもとに対応策を考えます。症状、リスク、細菌叢パターンを総合的に判断し、必要な処置のみを行います。

健康な人の細菌叢パターン

健康な歯肉に多い細菌叢パターンです。このような細菌叢パターンで炎症がある場合は、細菌以外の原因が予想されます。
炎症がある場合、ブラッシング方法の不良が考えられますので、ブラッシング指導を行います。また必要に応じて抗炎症作用のある塗り薬をお出しします。

炎症の傾向が強い細菌叢

歯肉が浮腫を起こしている、少しぶよぶよする、フロスで出血するということが考えられます。ブラッシング指導だけでは改善が難しい場合がありますが、抗菌作用・抗炎症作用がある歯磨き剤(ジェル)やうがい剤の併用をお勧めします。細菌の種類に応じて、適切なものをご提案します。

抗菌薬の投与は推奨していませんが、しつこい炎症の場合は、3DSによる細菌バランスの調整行います。

歯周病リスクが高い、炎症のリスクが高い細菌叢

歯周病の部位が多いか少ないかにより対応策を検討しています。

・その部位が少ない場合・・・局所的な殺菌を行います。またその部位に炎症が限局している理由を考え、原因の除去を行います(たとえば、かみ合わせの問題など)

・ その部位が多い場合・・・単純な歯石除去、プラークコントロールでは炎症の改善が難しいことが多いです。必要に応じて、歯周病学会のガイドラインを参考にして抗菌薬を併用した歯周病治療を行います。

 

 ●抗菌薬投与後の再発リスクが高い細菌叢の場合

  現時点で、再発リスクが高いと断言できる細菌叢のパターンはありませんが、様々なデータを蓄積した結果、抗菌薬投与後すぐに炎症がもどってくる細菌叢パターンがあると考えています。
完全な予測はまだ難しいのですが、事前にリスクが高いと予想できる場合は、しばらくの間、3DS(トレー・マウスピースを用いた歯周病菌の殺菌)や殺菌作用のあるうがい剤を併用します。また生息する細菌種に応じて、使用する薬剤の種類やその濃度を調整しています。

 

薬を併用した歯周病の治療

必要に応じて薬を使いますが、一番大切なのは丁寧な歯石除去的確なブラッシングです。

抗菌薬の併用は時に有効です。しかしむやみやたらと乱用すべきものではありません
抗菌薬を併用するかどうかを慎重に見極め、できるだけ薬を使わない、使うときにはしっかりと使う治療方針で治療を行っています。
(抗菌薬を併用する一部の治療は保険適用外となります)

抗菌薬(抗生物質)をお出ししています。

・抗菌薬併用が望ましいと判断した場合のみ、歯周病菌検査の結果(種類と数)をもとにお薬をお出しします。

歯周ポケット内に多い菌を調べて初めて薬を選択することができます。 しかし、歯周病菌は歯周ポケットの中でバイオフィルムという巣に守られているため、あまり薬が効きません。そのため、バイオフィルムを道具を使って取り除く必要があります。

[注意] 当医院は、日本歯周病学会の「歯周病患者における抗菌療法の指針」を参考に、歯周病の細菌検査と抗菌療法を行っています。
歯周病の治療に抗真菌薬(抗カンジダ薬)はお出ししていません。詳しくはこちらをご覧下さい。

 

薬が効いている間に、徹底的に掃除をします。

薬が効いている約1週間の間に2,3回、繰り返し歯周ポケット内のお掃除を行います。歯石が多い人の場合は、3回かけて徹底的に取り除きます。

薬が効いている間は、歯茎の腫れが引くため、歯の掃除をしても痛みを感じにくくなります。 この間にしっかりと歯周ポケット内を掃除を繰り返して、薬では除去できないバイオフィルムを丁寧に除去していきます。

 

 


治療中に薬の効果が十分に得られていないと判断した場合は、再度菌を採取し菌の減少具合をチェックします。場合によっては、薬を変更します。併設のセンターで解析するため、迅速に対応できます。

・歯周ポケットの掃除をしていると患者さん自身が磨きにくい部位がよく分かります。
それを改善できるよう磨き方、フロス・歯間ブラシなどの効果的な使い方をその都度説明しています。

時間をかけたブラッシングよりも、的確なブラッシングができるように繰り返しご説明します。

大切なのはメインテナンスとセルフケアです。

どんなにしっかりと歯科医院で治療を行っても、これら歯周病菌はもともと常在菌ですので再度増えてくる可能性が十分にあります

細菌叢解析の結果からリスクを想定し、よりハイリスクの患者さんは短めに、リスクの低い患者さんは長めの間隔で定期的なメインテナンスを実施します。

細菌バランスは、加齢や生活習慣の変化等の影響を受けます。負担にならない範囲で、定期的に歯周病菌を調べることをお奨め致します。

そのほか、噛み合わせなど歯周病を悪化させる因子の除去を行います。

 

歯周病菌が再び増えてこないように、定期的な歯科医院での点検・清掃(メインテナンス)、そして毎日の歯磨き、歯間ブラシ、フロスが絶対に必要です